Ein Notizbuch 2

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一人一票を求める裁判の判決について - 12月19日最高裁大法廷判決2(追記あり)
鬼丸裁判官の反対意見

1. 鬼丸裁判官は、まず衆議院の責務(適正な国民の意思の集約)を述べた上で、憲法は1対1に近い投票価値の平等を保障しており、これが最も重要かつ基本的な基準であるのだから、約2倍の較差(本当は0,5なんですが)を認めることになるような考慮要素等が国会に認められる裁量であると解することは困難であるため、本件区割り規定は憲法に違反する、と結論します。

次にその検証です。
第1に、H29衆院選で、全選挙区289のうち、較差1,9倍以上の選挙区28、1,8倍以上の選挙区71、1,5倍以上の選挙区168。H34採用アダムズ方式をもってしても2倍近い較差が多数生じ、それを当然と容認することはできない、と述べます。

第2に、憲法前文、および43条1項の通り、国会議員は全国民の代表であって、全国民の視野に立って行動することが憲法の要求である、と述べて一人別枠方式を退け、近年の通信技術も憲法の要求を促進すると述べます。

第3に、H23大法廷判決が一人別枠方式を憲法の要請に反するものとしたことを改めて述べ、その後の法改正によっても、実質的に一人別枠方式が廃止された上での配分ではないことを強調。

2. H23年大法廷判決(H23年3月23日)からすでに6年6ヶ月が過ぎており、立法府が司法の判断の趣旨を踏まえ、投票価値の平等の実現に向けて真摯に行動していれば、1対1に近い定数配分及び選挙区割りは十分可能であったものであり憲法上要求される合理的期間は経過したというべきである、と述べて、これまで最高裁が違憲状態判決の際に認めてきた合理的期間をもここで退けます。

3. しかし、H29年衆院選は、投票価値の不平等を理由とする衆院選挙無効訴訟が提起されて以来、最大較差が初めて2倍未満となった選挙であり、アダムズ方式の採用も決まって較差縮小も見込まれ、1対1に近づくことが期待できるため、本件区割り規定は違憲であるが、事情判決の法理により、選挙無効の結論を出すのではなく、本件選挙は違法であることを宣言すべきである、という結論です。


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山本裁判官の反対意見


1. 山本裁判官は、憲法は代表民主制に支えられた国民主権の原理を宣明しており、国会を構成する両議員の議員は、公平かつ公正な選挙によって選出されなければならないと述べます。地域によって一票の価値に較差があったとすると、較差の分だけ強い政治力を及ぼしやすくなり、いずれの国民も平等に選挙権を行使できなければ、国民主権の原理は画餅に帰してしまうというわけです。

投票価値の平等があってこそ、代表民主制が国民全体から等しく支持される正統なものとなる。しかし、実際は、そうではない状態が継続している事実が指摘されます。

投票価値は1,0となるのが原則であり人口の急激な移動や技術的理由があってもせいぜい2割の程度の較差にとどまるべきであり、これ以上の較差を生じる選挙は違憲かつ無効と結論づけます。


2. 一票の価値の較差が2割程度を超えた場合には当該選挙は無効。無効とされた選挙に基づいて選出された議員によって構成された議院が行った議決も、無効とされた選挙に基づいて選出された議員も、違憲かつ無効とすべきである。 山本裁判官の結論は明瞭で、そう判決が下された場合の措置予測も怠りません。すなわち、

この判決を行使したとしても、選挙無効の判決の効力は将来に向かってのみ発生するので、判決前にされた議決等は効力を持つし、判決後は、効力を持つ議員で構成される院により議決を有効に行うことが可能であること。

議員においても、一票の価値が0,8を下回る選挙区から選出された議員の身分は無効であり、本件選挙区当日において、衆院小選挙区選出議員の定数289人中、一票の価値が0,8を下回る選挙区の定数の試算は55人であり、これらの議員が欠けても、衆院構成に支障はないこと。

3. 加えてここで、山本裁判官は、一票の価値の平等を実現するための具体的な選挙区割りに関していくつかの案を具体的に提示しています。


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鬼丸裁判官・・本件区割規定は違憲、選挙は無効にはしないが違法である。

山本裁判官・・本件区割規定は違憲、選挙は無効である。


なんとかまとめようとしましたが、結局かなりの引用になってしまいました。多数意見も含め、全文を検証という方は、是非、一人一票実現会議のHPでダウンロードしてください。

https://www2.ippyo.org/?p=981

追記

1月11日の閣議で、鬼丸裁判官の後任に、草野弁護士が任命された、と朝日デジタル版にて発表されました。弁護士が任命されたということで枠があるとは言え、私としては期待したいです。

以前、裁判官をしていた方から学んだのですが、ドイツ語では、Anwalt は「擁護者」の意味で、Staatsanwalt は「国を擁護する者」で日本語の「検事」の意味、Rechtsanwalt は「法を擁護する者」で「弁護士」の意味ということです。職業名の意味が、単語を見ればすぐ解る。ここにもドイツ語の論理性が現れていると思います。

さらに付け足すなら、ドイツ語で abordnen は「〜を代表として派遣する」という意味で、その過去分詞の名詞化である Abgeordnete は「代表として派遣された者」すなわち日本語の「(国会)議員」を意味します。

| Till*eulenspiegel | 憲法 - Verfassung | 22:49 | - | - |

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